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歯科
口腔外科認定医とは?現役歯科医師が解説する専門性と患者さんへのメリット

【この記事の監修歯科医師】

神奈川歯科大学卒業。
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医。
「再治療のない、丁寧な治療」をモットーに日々情熱を注いでいます。
歯科のお悩みならなんでもご相談ください。
口腔外科認定医は、全歯科医師のわずか3%しかいない非常に希少な資格です。
親知らずの抜歯や顎関節症など、一般歯科では対応が難しい症例を専門的に治療します。
この記事では、口腔外科認定医を持つ現役歯科医師として、認定医の専門性や患者さんにとってのメリット、どのような症状で相談すべきかを詳しく解説いたします。
口腔外科認定医の基礎知識
口腔外科認定医の定義と役割
口腔外科認定医とは?
口腔外科認定医は、一般の歯科治療に加え、外科的な処置(手術)を伴う歯科治療に精通した歯科医師です。
日本口腔外科学会の定める厳しい条件を満たしたうえで、認定を受けた医師だけがこの称号を持つことができます。
主な診療領域
- 親知らずの抜歯(難症例を含む)
- 顎関節症の診断と治療
- 歯や顎の外傷(骨折など)
- 口腔内の腫瘍やできものの診断・処置
- 嚢胞(のうほう)の摘出
- 口腔がんの早期発見と専門機関への連携
- インプラント治療における骨造成など外科処置
認定医の役割
- 専門的な診断と治療
一般歯科では難しいケースに対し、より高度な診療の提供を行います。
- 安全性の高い外科処置
全身疾患(高血圧・糖尿病・心疾患など)を持つ患者にも、医科との連携のもとで安全に手術が行えます。
- チーム医療の中心的役割
歯科医師、医師、病院との連携を取りながら、患者一人ひとりに最適な医療を提供します。
- 患者への安心感の提供
専門資格を持つことで、患者に安心して治療を受けていただける体制を整えています。
全歯科医師のわずか3%という希少性
なぜ「口腔外科認定医」が選ばれるのか?
- 全国の歯科医師の中でも、わずか3%の希少な専門資格
口腔外科認定医は、歯科医師の中でも特に高度な外科知識と技術を持ち、厳しい審査基準をクリアしたごく限られた医師だけが取得しています。
- 数多くの症例経験と専門教育を積んだ“口腔の外科医”
大学病院などでの専門研修や、学会による継続的な教育・研鑽を受けており、一般の歯科では難しい症例にも対応できます。
- 安心して外科的な治療が受けられる“信頼の証”
親知らずの抜歯や顎のトラブル、粘膜疾患、インプラント前処置など、専門的な判断と処置が必要な治療も、安全に受けられます。
5年ごとの更新制度で保たれる高い技術水準
口腔外科認定医の資格は、一度取得して終わりではありません。
常に、技術と知識を常にアップデートしています。
5年ごとの更新制度が設けられており、そのたびに以下のような条件が求められます。
- 学会への継続的な参加
最新の医療知識や技術を学び続けることが義務づけられています。
- 症例の報告・記録
実際に治療した症例を学会に提出し、継続的な臨床経験を証明する必要があります。
- 講習会・研修受講の義務
手術手技や安全管理、全身管理などの最新の医療トピックに対する研修を定期的に受講します。
口腔外科認定医が対応できる治療内容
難抜歯・埋伏歯の抜歯
他院で「大学病院を紹介します」と言われた方も対応できる可能性があります。
- 横向きや深く埋まった親知らずの抜歯
通常の歯科医院では対応が難しい「横向きに生えている」「歯ぐきや骨に埋まっている」親知らずも、的確な診断と確かな技術で安全に抜歯できます。
- 神経や血管に近いリスクの高い症例にも対応
下顎管(神経)や上顎洞(鼻の空間)に近接するようなケースでも、CT画像による精密な術前診断と豊富な経験により、安全性を高めた処置が可能です。
- 術後の腫れや痛みを最小限に抑える工夫
切開・縫合・ドレーン処置など、外科的な工夫により、術後の腫れや感染リスクをできるだけ抑えるよう配慮します。
〈こんな方におすすめです〉
- 他院で「抜けない」と言われた親知らずがある
- 顎の深いところに歯が埋まっていて心配
- 抜歯後の腫れや痛みを最小限に抑えたい
- 安心して外科処置を任せたい
顎関節症の専門治療
口が開かない・痛む・音が鳴る…それ、顎関節症かもしれません。
顎関節症とは?
顎の関節やその周囲の筋肉に異常が起き、「口が開かない」「開け閉めで音が鳴る」「あごが痛い」といった症状が現れる病気です。
原因はストレス・噛みしめ・歯ぎしり・かみ合わせのずれ・外傷などさまざまです。
口腔外科認定医による顎関節症治療の特徴
〈正確な診断〉
- 顎の動き・関節の状態・筋肉の緊張などを丁寧に診察
- 必要に応じてレントゲンやCT、MRIなどの画像診断を併用
〈症状に合わせたオーダーメイド治療〉
- 軽度の場合:生活指導・マウスピース(スプリント)療法
- 中~重度の場合:薬物療法・関節腔洗浄・関節内注射
- 特に重症な場合には、手術(関節鏡手術など)にも対応
〈全身疾患や他の要因も考慮〉
ストレスや噛み合わせの問題、歯ぎしりの癖など複合的な要因を見極めてアプローチします。
その他
口腔外科認定医が対応する主な治療内容
口腔内のできもの・粘膜疾患の診断と治療
- 口内炎が長引く、白い・赤いできものが消えない
- 良性腫瘍・前がん病変・がんの早期発見と診断
顎・顔面の外傷(骨折・打撲など)
- 顎をぶつけてズレた・噛み合わせが変わった
- 顔や歯が折れた・抜けたときの応急処置
- 顎の骨折や脱臼の整復・固定
嚢胞(のうほう)・骨内病変の摘出
- レントゲン・CTで見つかった歯の根元の袋状病変など
- 外科的摘出とその後のフォローアップ
インプラント治療の外科処置
- 骨が足りない場合の骨造成(GBR)・サイナスリフト
- 抜歯即時埋入や全顎治療などの高度インプラント手術
- 全身疾患を持つ方へのリスク管理下での手術
神経障害・しびれ・三叉神経痛の診断
- 抜歯後や外傷後の「しびれ」や「違和感」
- 三叉神経痛・舌痛症などの慢性的な神経症状にも対応
- 薬物療法やレーザー治療など、症状に応じた処置
口腔外科認定医がいる歯科医院の見分け方
1.日本口腔外科学会の認定マーク・資格表示をチェック
医院のホームページや院内掲示で、
「日本口腔外科学会認定医」「口腔外科専門医」などの資格表記があるかを確認しましょう。
また、「〇〇医科歯科大学口腔外科出身」「大学病院口腔外科での勤務経験あり」などの表記がある場合でも必ずしも認定医資格を持っているとは限りません。
2.難症例の親知らずや顎関節症などを診ているか
医院紹介や症例紹介の中で、
「親知らずの難抜歯」「顎関節症の治療」「嚢胞・腫瘍摘出」といった専門性の高い診療実績が記載されているか確認しましょう。
例)「埋伏歯の抜歯に対応」「口腔外科手術に対応」「CT完備で安全な外科処置」など
3.CTや手術設備が整っているか
高度な診断・外科処置には、CTや外科専用ユニットが必要です。
機器設備が整っている医院は、外科的処置に力を入れている証です。
4.医院ブログやコラムでの発信をチェック
医師が口腔外科に関する専門的な情報を発信していれば、知識や経験への自信の表れです。
治療に対する考え方や患者さんへの姿勢も見えてきます。
5.心配なら、初診時に質問してみましょう
「先生は口腔外科の認定資格をお持ちですか?」
「親知らずが深く埋まっていますが、対応可能ですか?」
丁寧に説明してくれるかどうかも、医院選びの大切なポイントです。
一般歯科医師との治療の違い
診断力の違い:見逃されがちな疾患の早期発見
一般歯科医師はむし歯・歯周病・詰め物・義歯など日常の治療を広く担当するのに対し、
口腔外科認定医は、「一見、見逃されがちな口腔内疾患」にも目を向けられる専門知識を持っています。
見逃されやすい「粘膜疾患・腫瘍」の早期発見
〈よくある例〉
- 「口内炎だと思っていたが、実は粘膜疾患や腫瘍だった」
- 「しびれや違和感があったが、神経障害が疑われた」
- 「骨にできた嚢胞が、痛みのないまま進行していた」
口腔外科認定医は、口の中だけでなく顎・顔・神経・粘膜まで幅広く観察・診断します。
CTやMRIなどを活用し、見落としのない精密な診断が可能です。
口腔がんの前段階(前がん病変)を見逃さない
- 白板症・紅板症などの前がん病変
- 舌や頬の内側にできる「白い・赤いできもの」
- 長引く腫れ・しこり・出血などの異変
これらは、一般的な口内炎と見分けがつきにくいため、専門医の目が重要です。
早期に発見・対応できれば、がんへの進行を防ぐことも可能です。
診断力の裏付け:専門研修と症例経験
- 大学病院や専門施設での臨床研修と手術経験
- 学会・講習会による継続的な学習と技術更新
- 複雑な症例に対する数多くの診療実績
これらが、「見逃さない診断力」につながっています。
手術技術の違い:安全で確実な処置
口腔外科認定医の技術力が支える「安心の治療」
手術が必要な歯科治療では、医師の技術や経験が安全性を大きく左右します。
特に親知らずの抜歯やインプラント、顎関節症の手術などは、解剖学的な知識と繊細な手技が求められます。
一般歯科との違いとは?
精密な診断と計画立案
CTやレントゲンを活用し、神経や血管の位置まで正確に把握したうえで、安全な術式を選択できます。
難症例への対応力
埋伏歯や骨に近い神経を避けながらの抜歯など、一般歯科で断られるケースにも対応可能。
術後の合併症リスクの軽減
経験豊富な手術技術により、術後の腫れ・痛み・神経麻痺のリスクを最小限に。
なぜ「認定医」が安心なのか?
- 日本口腔外科学会などの厳しい基準を満たした医師だけが取得できる「認定医資格」。
- 大学病院や専門施設で研鑽を積んだ実績のある医師が対応。
- 術中の判断力と確かな技術で、安心・安全な処置を提供。
口腔外科認定医に相談すべき症状・状況
このような症状があれば認定医に相談を
口腔内やあご、顔まわりのトラブルの中には、専門的な知識と技術を要するものがあります。
以下のような症状・状態がある場合は、口腔外科認定医への相談をおすすめします。
●親知らずが痛む・腫れている
→横向きに生えている・歯ぐきが腫れて膿が出る・開口障害があるなど
●他院で「抜歯が難しい」と言われた
→神経や副鼻腔に近接している親知らず、埋伏歯(骨に埋もれた歯)など
●あごが痛い・音がする・口が開きにくい
→顎関節症の疑い。かみ合わせや関節円板のずれが原因の場合も
●口内の粘膜にできものや白い斑点がある
→良性・悪性を含む「口腔粘膜疾患」の可能性。早期発見が重要です
●顔の腫れ・しびれ・痛みなどの異常がある
→顎骨の炎症・膿瘍、神経損傷など、放置すると全身に影響する場合も
●インプラントを検討している
→骨の状態や全身疾患の有無など、リスク評価と安全な術式選定が必要
他の歯科医院で断られた・困難と言われた場合
他の歯科医院で「この治療は難しい」「手術は危険」と言われた場合でも、口腔外科認定医なら適切な治療を提供できることがあります。
認定医は、特に難症例や高度な技術を要する症例に対応するための専門的な訓練と経験を積んでいます。
●親知らずの抜歯が難しいと言われた
→骨に埋もれた親知らずや神経の近くにある親知らずは、処置が難しいことがあります。しかし、口腔外科認定医なら、精密な診断と高い技術で安全に処置を行えます。
●インプラント治療が難しいと言われた
→骨が薄い、骨の吸収が進んでいる場合でも、口腔外科認定医による骨移植や再生療法を用いることで、インプラント治療を成功させることができます。
●顎関節症や口を開けることができない
→顎関節症は放置すると悪化する可能性があります。認定医なら、複雑な治療法や手術を組み合わせた対応が可能です。
●口腔内の腫瘍や異常を見逃されていた
→口腔内のしこりや異常が見逃されることがあります。専門医による診断を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。
●手術が必要と言われたが不安
→他院で手術を提案されたが、リスクが高いと感じている方でも、口腔外科認定医の高度な技術により、最小限のリスクで治療を受けることができます。
よくある質問(FAQ)
口腔外科認定医の治療は痛いですか?
口腔外科認定医の治療は、基本的に患者さんの痛みや不安を最小限に抑えるように配慮されています。
専門的な知識と技術を持っているため、麻酔の使い方や手術の進め方が非常に丁寧で、安全に痛みをコントロールします。
ただし、治療内容や個人の痛みの感じ方によっては、多少の痛みや違和感を感じることもあります。
術後の痛みや腫れも起こる場合がありますが、痛み止めの処方やアフターケアの指導でしっかり対処可能です。
もし「痛みが心配」という場合は、事前に不安な点を相談すると、安心して治療を受けやすくなります。
全体としては、痛み管理に優れているのが口腔外科認定医の特徴です。
治療費は一般の歯科治療より高くなりますか?
必ずしも高くなるとは限りません。
口腔外科認定医が行う治療の中にも、健康保険が適用されるものが多くあります。
たとえば、親知らずの抜歯や炎症の処置、顎関節症の診断と初期治療などは保険診療の範囲内で受けられることがほとんどです。
〈保険適用される主な処置〉
- 難しい親知らずの抜歯
- 口内炎やできものの診断・治療
- 顎関節症の初期治療(薬・運動療法など)
- 歯の外傷や骨折の応急処置
〈自費診療となるケースもあります〉
以下のような高度な医療技術や材料を用いる場合は、保険が適用されず自費となる場合があります。
- インプラント治療
- 骨造成や再生医療を併用する外科手術
- 特殊な手術器具・材料を使うケース
- 審美目的の処置(見た目の改善を重視する場合)
治療費については、初診時やカウンセリング時に見積もりや説明を受けられることが多いので、事前に確認しておくと安心です。
まとめ
口腔外科認定医による治療は、
専門性の高い知識と技術に基づいた「安全で確実な処置」が特徴です。
難しい抜歯や親知らず、
顎関節症や外傷の治療、
他院で断られた症例など、
一般歯科では対応が難しいケースにも柔軟に対応できます。
「これは相談すべき?」と迷った時こそ、
早めの受診・相談が大切です。
お口のトラブル、どうぞお気軽にご相談ください。